20180907 ル・ビストロ・メランジェに閉店前の訪問

旭川で23年、今の場所で14年のル・ビストロ・メランジェ。
旭川の料理界に旋風を巻き起こし、常にトップを突っ走っていたメランジェ。
このブログでも、コラボディナーやワイン会など、たくさん登場しています。

そんなメランジェさん、この9月17日をもって閉店してしまいます。
建物の老朽化に伴って、ビルオーナーさんが取り壊しを決定したようです。
なんとも悲しいです。

メランジェは、自分の旭川のフレンチに対する概念を根底から変えてくれたお店です。
昨日停電だったにもかかわらず、真っ暗な中で仕込みされ、本日は満席!
シェフの作品をしっとりと堪能させていただきました。


このエントランスも、もう見ることができなくなります。
以前は、とても入りづらい雰囲気だったと聞きますが、一度でもはいったことのある人は、この光景を見ると涎が出るはずです。
 

メランジェさんは、最初1995年に神居の方で開業され、その後、買物公園を経て、2004年に現在の場所で営業をしていました。このデザインのパネルは、旭川フレンチの象徴です。
 

この空間で、いくつもの伝説が生まれ、たくさんの笑いと涙が流れ、多くの人がシェフの作品に舌鼓をうち、感動しました!
 
さて、今日のお料理を。今日はコースでいただきました。
 

網走産ミンククジラのリエット ブリニ添え
明石産真ダコの冷製 トマトのヴィネグレットソース
 
まず先に真ダコの冷製 このヴィネグレットソースと、甘いトマトのコラボレーションはタコの甘みを引き出してくれるのですが、この上に乗っている小さい白い花、これニラの花なんですって。食べるとニラの風味がはっきりと口の中に広がります。これがまたトマトとの相性がすばらしい。例えると、バジルとトマトの相性のような、すべてを一体にして口の中にいれるとその味わいが完成する、そんな一品です。
また、リエットは、普通豚で作られますが、仕入れたミンククジラの状態を把握して、それをリエットに仕立てるところが河原シェフの真骨頂。味わいはとてもまろやかで、臭みやエグミなどまったくありません。自分では、何も言われずに食べたら、原材料がなんだか検討も付きません。自分リエットの食感がとても好きなので、このままでも十分満足なのですが、ブリニ(そば粉のパンケーキかな)との相性も素晴らしいものでした。
シェフに聞きました 「クジラでリエットなんて、どこかで作っているのですか?」
シェフ曰く、「おそらく世界で初めてでしょうな〜」
そうでしょう、そうでしょう!
 

熊本産馬肉のタルタル 根セロリのソース キャビア添え
 
馬肉のタルタルですが、メランジェさんの根セロリのソースは絶品で、これを合わせると、もともと馬肉に癖がないのですが、より一層まろやかな味わいになり、セロリのアクセントで甘みが引き立ちます。その甘味が、キャビアのやや軽めの塩気と合わさってバランスよく口の中に旨味が広がります。付け合せのせんべいみたいなやつ、ごまが入っているんですが、このごま、風味がとても良くて、これと馬肉を根セロリソースで食べてみると、またごまとセロリの風味が鼻に抜けていって、違った食感になります。楽しい一品。
 

白コーンのムース
 はちみつ漬けのフォアグラのコンフィとコンソメゼリー添え
 
上に乗っているのが、鶏で引いたコンソメのゼリー。その下に、はちみつ漬けのフォアグラのコンフィがあって、その下の白いムースがホワイトコーンで作られたムースです。
一つ一つを別々に食べても、もちろん美味しいのですが、この合体した風味は絶妙。
フォアグラのコンフィは、フォアグラ自体に甘みがあるのに、蜂蜜でさらに甘くしてどうする、とお思いでしょうが、逆転の発想で、よく甘い貴腐ワインとフォアグラは、最高のマリアージュといいますが、まさにああいった感じの組み合わせ。なるほどです!そこに、全く違う甘みのホワイトコーンのムース。これは、フォアグラのねっとりと対照的で、ムースはふんわりなので、この2つが合わさることで極めて対象的な食感が一つにまとまります。そこにコンソメの絶妙な塩加減の旨みたっぷりコンソメが、ビシッと味をしめてくれます。
 

蝦夷アワビと岩手産神経じめ穴子のココット蒸し 動産松茸添え
 
一言で言ってしまえば、松茸土瓶蒸しのフレンチバージョン。アワビ、穴子、松茸と、和の食材、ほかに、ちらりと見えていますが、美瑛産の焼きネギ(何ネギだったかな)がはいっています。まさに土瓶蒸し。でも、そこがフレンチ。スープのこだわりが半端なくすごいんです。貝類や穴子、アワビで出汁をひいて作られる繊細かつ旨味・風味豊かな出汁が、河原マジックでフレンチなんです。焼いたネギの風味も合わさって、手が止まらなくなります。
道産松茸、小ぶりですが、これがまたとても身が締まっていて、歯ごたえがたまらない。
 

明石産鯛のポワレ 抹茶のソース
 ナスと仏産マスの卵の塩漬けのディップ添え
 
河原シェフの魚料理の火入れは、もう絶品です。そして抹茶のソース。
抹茶って、ちょっと濃くしちゃうと、抹茶の風味が強すぎて他の味や香りが消えちゃうんですが、このソースは違います。お茶の風味はきちんとあるんですが、なぜか、香りが飛び出ていない。これも出汁が力出しているんだと思います。それでいて鯛と合わせたときの鯛の甘みが引き立ちます。そこに、かかっているソース、ディップはペースト状にしたもののことですが、ここにはいっている仏産のマスの卵、これ塩漬けってなっていますが、全然しょっぱくなくて、ほんと塩梅がいい。旨味がぎゅっと凝縮していて、生臭さとかまったくないんです。そして魚卵自体の食感も、張りがあって口の中でプチっと弾けます。ナスのディップの甘味との相性が抜群。そこに鯛の実が重なってきて、抹茶の風味でお化粧している、そんな素敵な一品でした。
 

プロヴァンス産仔羊のちりめんキャベツとクレッピーヌ包み焼き
 
メインの肉料理は仔羊。この厚みでこの火入れ。もうまいりました。プロヴァンスは仔羊が名産なんだそうです。その仔羊の鞍下肉という部位を使っています。これをちりめんキャベツでまき、更にそれをクレッピーヌ(網脂)で包んで焼き上げた一品。この部位って、ほんと柔らかくて、ジューシーな食感で、仔羊の旨さだけがエレガントに味わえて、臭みなど一切ないピュアなお肉。これがキャベツの甘味と網脂のコクで包まれているとても贅沢なものです。ソースはバルサミコ酢や蜂蜜かな? 上品な酸味と甘味で羊肉の旨味を引き出してくれます。ものすごい満足感。
付け合せは、紫人参のグラッセ。シェフ、「紫人参グラッセしたら色抜けるの忘れてました笑」って、面白いこと言っていました(笑)
 

デザート
 
あれ?なんのソルベとタルトだったかな。
ソルベの方は、透明な氷のように見えるのはミントのゼリー。ブルーベリーが添えてあります。ミントの爽やかさとソルベのフレッシュな酸味が心地よい口当たり。
タルトは卵を感じさせる風味です。
 
あ〜お腹いっぱい!
 
河原シェフ、睦美さん、長い間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
新しい展開に心躍らせています!
ますますのご活躍を!!